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大血管末梢血管疾患

血管エコー

血管疾患の診療で超音波検査は欠かせないものとなっています。簡便かつ無侵襲で、繰り返し検査が行え、診断能も飛躍的に向上しています。頸動脈狭窄症、末梢動脈閉塞性疾患、腹部大動脈瘤、深部静脈血栓症などの疾患の診断に有用です。また、血管造影検査では得られない血管壁の情報や血流情報が得られます。

下肢静脈の超音波検査法(基礎編)

 <下肢静脈の分類>

 表在静脈
  超音波検査では体表から数mm以内の皮下に描出される。
  大伏在静脈、小伏在静脈など


 深部静脈
  筋膜より深い部位を走行する。
  腸骨静脈群、大腿静脈群、膝窩静脈、前脛骨静脈、後脛骨静脈、腓骨静脈、ヒラメ静脈など

 穿通枝(交通枝)静脈
  表在静脈から深部静脈へ交通する。
  Dodd、Boyd、Cockett穿通枝

 <超音波検査でみられる静脈の特徴>

 静脈は独特な性質をもち、これを観察することで静脈機能を診断に役に立つ。

  ・自発的な(spontaneous)血流がみられる。
  ・波のうねりの様な血流変動がみられる。
  ・末梢部を圧迫すると還流速度が増大する。
  ・拍動性がない。(心臓に近い部位では拍動性あり)
  ・圧迫で静脈内腔が容易に潰れる。
  ・還流の呼吸性変動がみられる。
  ・逆流防止弁が多数存在する。
  ・立位では著明に拡張する。

  静脈は探触子による圧迫で容易に潰れる(compressibility)
静脈圧迫
 
静脈還流の呼吸性変動
呼吸性変動 吸気時に静脈還流が止まり呼気時に再開する。観察部位よりも中枢側(心臓側)に閉塞性病変があるとこの変動が現弱または消失する。
呼吸性変動 深吸気時の持続の短い逆流所見は異常ではない。
 
ミルキング操作
ミルキング操作 観察部位よりも末梢側(腓腹部)を手で圧迫すると静脈還流が加速する。観察部位よりも末梢に閉塞があるとこの反応が鈍る。
 
呼吸による静脈弁の開閉
静脈弁の動き
 
カラードプライメージによる静脈血流の描出
大伏在静脈合流部 大伏在静脈と浅下腹壁静脈が総大腿静脈へ合流
浅大腿静脈・大腿深静脈 浅大腿静脈と大腿深静脈の合流部.同名の動脈の間に挟まる形で走行する。
 
下腿の静脈の描出法
下腿静脈の描出

下腿の後面からコンベックス型プローブを短軸方向にあてると、腓骨静脈、後脛骨静脈、ヒラメ静脈などが一度に観察できる。

過拡張しているものやプローブによる圧迫で潰れないものは血栓の存在が疑われる。

下腿の静脈(Bモード)
下腿の静脈(color)