トレッドミル運動負荷試験

【目的・対象】

トレッドミル負荷心電図は,電動式でベルトの傾斜と速度を一定時間毎に増加することで負荷量を設定し,走行運動することで心筋虚血や運動誘発性不整脈の検出,運動耐容能を評価する負荷方法です。プロトコールとしてはBruce法やその変法が用いられることが多く,年齢や病態,歩行能力により開始時の負荷量や各ステージの設定を工夫した方法を使用しています。

自転車エルゴメータ法は,固定された自転車のペダルをこぐ型の装置を用いて,ペダルをこいで抵抗力×距離×回転数で仕事量を決め運動負荷をかける方法です。多くは25Watts(W)から始めて3分毎に25Wずつ増加させ,目標心拍数に達するか負荷終了点まで運動を行い評価する。

トレッドミル負荷法は体重を重力に抗して移動させる重力負荷運動であり,負荷強度による体酸素摂取量は体重が重いほど大きいが,体重あたりの酸素摂取量であるMETsは体重によらず一定となる。自転車エルゴメータは,体重をサドルで支えているために重力負荷のない運動様式であり,外的仕事量に対する体酸素摂取量は体重が重いほど小さい。どちらの方法でも酸素摂取量が負荷量から推定でき,運動耐容能の評価は可能である。

Bruce RA, Hornsten TR. Exercise stress testing in evaluation of patients with ischemic heart disease. Prog Cardiovasc Dis. 1969 Mar;11(5):371-90.

川久保 清.運動負荷心電図 その方法と読み方.医学書院.2000

上嶋健治.運動負荷試験Q&A110.南江堂.2002

【方法・施行状態】

トレッドミル運動負荷試験施行風景

【解析判定例】

トレッドミル運動負荷試験で自覚症状が無いにも関わらず血圧低下を示した左冠動脈主幹部病変を有する症例の心電図変化

(循環器医療センター症例・右画像は当院放射線科で施行したCT Angiography所見)

このように無症候性の心筋虚血が誘発されることもあり,負荷試験中は注意深い観察が必要です。