診療・研究グループ/調査・研究

 

 臨床・研究グループ
 ■不整脈グループ

 

 徐脈性不整脈の精査および治療(永久ペースメーカ植込み手術),頻脈性不整脈の薬物治療や非薬物治療(カテーテルアブレーション,植込み型除細動器植込み手術),致死的不整脈を惹き起こす心筋疾患の治療,重症心不全に対する非薬物療法(心臓再同期治療)などを担当しています。さらに,中高年の突然死の原因として最近話題であるBrugada(ブルガダ)症候群の精査や治療も行っています。また,失神症例の鑑別のために積極的にチルトテストを行い,神経調節性失神の診断ならびに病型分類とそれに従った治療なども当診療部門で行っています。

 

[診療実績]

 

 ここ数年の不整脈診療部門の入院患者数は年間約220例です。その内訳を表1に示します。また,検査および治療件数は,臨床心臓電気生理学的検査(カテーテルアブレーションを含む)約90例,カテーテルアブレーション約80例,永久ペースメーカ植込み手術約70例,植込み型除細動器植込み手術約15例であります。新しい診断および治療器具や新しい治療手技の導入によって,年々診断や治療の成績が飛躍的に向上ししております(1)。また,小児科や麻酔科の協力のもと,小児の不整脈診断と治療をも行っています。平成164月に重症心不全に対する心臓再同期治療(両心室ペースメーカ植込み手術)が保険適応となったのをきっかけに当施設でも同手術を行うようになりました。現在まで5例に対して同手術を行い,高い確率で心不全の改善を認めています。

 

[カテーテルアブレーション治療成績]

 

 3次元心臓マッピングシステム(CARTOTM)と心内心電図解析装置(Bard DuoTM)の導入後,先天性心疾患術後遠隔期に発症する心房頻拍や心室頻拍の不整脈基質の同定とカテーテルアブレーション治療を積極に行っています。また,心房中隔穿刺(Brockenbrough)法を積極的に取り入れて,発作性心房細動や左心房起源心房頻拍もカテーテルアブレーション治療の対象としています。現在は慢性心房細動と心室細動以外のすべての頻脈性不整脈のカテーテルアブレーションを行っています。

2にカテーテルアブレーション治療症例数と治療成績を示します。


AP view
 

カルトシステムを用いた心房細動のカテーテルアブレーション

(肺静脈隔離術)

 

activation mapAP view

左房内から4本の肺静脈の肺静脈‐左房間の電気的接合を高周波通電で遮断した。

 

茶色点:通電部位

橙色線:肺静脈隔離を行った領域

 
PA view

activation mapPA view

 

APAP view

PAPA view

RSPV:右上肺静脈

RIPV:右下肺静脈

LSPV:左上肺静脈

LIPV:左下肺静脈

MV:僧帽弁

 

 
3D-CT

3D-CTPA view

 

左房後方から4本の肺静脈を観察できる。

 

[医師のためのカテーテルアブレーション・コース]

平成14年から毎年,オクラホマ大学 中川博先生,アムステルダム大学 Anton E. Becker先生,横浜労災病院循環器科 野上昭彦先生等の協力を得て,循環器医療センターでカテーテルアブレーション・コースを開催しています。同コースは,当施設の若手医師ばかりでなく他施設の医師の教育の場としても役立っています。

 
カテーテルアブレーションコース

カテーテルアブレーション・コース

平成15827日〜29

 

左:中川 博先生(オクラホマ大学教授兼当施設客員教授)

中:筆者

奥:堀田 一彦先生(当施設非常勤講師)

 
   

(不整脈診療部門 籏 義仁)

 
 
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